第32回 第一部 縫製工場様の生産性改善レポート「ミドリ久慈衣料様ートヨタ生産システム活用術」

≪アズマ 縫製研究室 メールマガジン 第32号≫

今回は、ミドリ久慈衣料株式会社様(以下ミドリ久慈様)の生産性向上の取り組み トヨタ生産システム(TSS)の活用術を取材して参りました。

ミドリ安全様は高品質なオフィス及びユニフォーム業界のシェアNo.1で、近年毎年10%成長を成し遂げています。
ミドリ久慈様は、そのミドリ安全グループ様の衣服縫製部門です。
岩手県久慈市が所在地になります。

 

 

 

 

 

 

 

久慈市は東京駅から新幹線で4時間弱(二戸駅まで約2時間40分、二戸からバスで1時間)
久慈市は人口4万4千人強です。従業員72名の雇用です。
久慈市を含む北いわては、日本でも有数の縫製業の集積地です。

ミドリ久慈様は北いわてアパレル産業振興会に所属し、次世代を担う人材育成に向けた様々な取り組みを行っています。
(ファッションショーの開催、北いわて仕立て屋女子会など)

北いわてアパレル産業振興会ホームページ

【企業データ】
ミドリ久慈衣料株式会社
代表者:取締役社長 川代利幸
資本金:10,000千円
創業 :昭和60年(1985年)4月
従業員数:全72名(内 ベトナム研修生7名)
※2019年1月30日現在の情報
 トヨタ・ソーイング・マネジメントシステム(TSS)を創業当初から導入

ユニフォーム・カジュアルウエア生産状況
工程数    40~50工程
一品種ロット 22枚平均
日産     250~300枚/4ライン(1日10~15品種)
4ライン編成
(内訳 縫直:42名、裁断:7名、準備(芯貼等):7名、生産管理:9名、他:6名)
丸縫い(服一着を作れる)できる方は、30人以上(半分以上)10ヶ月で丸縫いができるように教育しています。
一人で1品番、3~5工程を掛け持ちしています。

主な設備
フルデジタル本縫いミシン JUKI DDL-9000C を 48台導入しています。
カン止めミシン、インターロックミシン、延反機、刺しゅう機、CAD、CAM他

同社では、メーカーや国外工場用のサンプル品の製造も数多くこなし、海外工場のマザー工場的な役割も担っています。

日々改善をしている。とにかくやってみる。そして業界No.1 毎年10%成長。そのようなミドリ久慈様のことを私は東京で聞いておりました。
具体的にどうしているのか、その神髄はなんなのか勉強させて頂きたく、岩手・久慈へ飛びお邪魔いたしました。
ご案内をミドリ久慈/川代社長からして頂きました。
レイアウト、道具、人の動き、見るたびに随所で”工夫”が感じられ、活きいきとしたエネルギーが伝わってきました。


技能者(単に作業をしているのではなく考えて仕事をしている方を技能者と呼びます)一人が毎月2点の改善案を提出しています。
印画像の提案書がそれです。

現場の声 改善提案書が的確に書かれていました。
問題の本質を追及され因果関係を主語述語でわかりやすく表現してありました。
このように現場から日常で問題解決を出されているところが現場力かと痛感いたしました。
その習わしが新入社員が毎年入っているなかで伝わっておりました。
提案内容に、「そうかなぁ?」と少し疑問に思うところがあるものもあるとのことですが、多少の疑問は目をつぶって、まずは実行しているとのことです。
毎月一人2件の改善が提案されています。
ここにも工夫があり、提案を全員が出す雰囲気を作っています。提案を出さなければならないようなシステムにしていました。
個々の問題とせずに、”システムが悪い”としてチームで改善をしています。

ベトナムにある自社工場から1年、久慈で研修を行って帰ります。
ベトナムに帰国した時に丸縫いができ、改善の指導ができる人材に育てています。(海外研修生制度が10年なりますが、縫製業界は過去の事例から5年のままになります)

これは、海外研修生も縫製業界に来なくなる可能性を示唆しています。
海外研修生の選択肢は、縫製以外、もっと自分が帰国後も活躍できる業種を選ぶようになる。
そんな時代になりました。
繰り返しになりますが、ミドリ久慈様は、ベトナム研修生が帰国後に活躍できるようになり、また人が人を呼ぶ、良い持続的循環が可能なシステムになっています。

この改善活動は、一回でも休めば、もとに戻すまでの労力は大変なものだそうです。
その意味は少しはわかった気がします。改善する空気が満ち溢れているので、一度その空気が抜けたら、それを満たすまでの時間は想像に難くありません。

トヨタ生産システムは”人を育てる”こと、私は一回工場内を拝見しただけで、他の方にお伝えできるレベルでないことを身に染みました。
勉強し直して、近々、新たな目でミドリ久慈様へ再度お伺いし学んできたいと思います。
続編の取材許可をお願いして参ります。

内容につきまして質問、ご意見等ございましたら、弊社担当者または返信にてお気軽にお問い合わせください。

取材協力 :ミドリ久慈衣料株式会社
取締役社長: 川代 利幸様
所在地  : 岩手県久慈市大川目町

末尾になりましたが、ご多用のところ貴重なお時間とご教授くださいましたミドリ久慈衣料株式会社 川代社長へ深謝申し上げます。

 

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アズマ株式会社 縫製研究室
鵜木 隆嘉
Tel 03-3861-7103
URL: http://www.azuma-jpn.com

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