第6回 メールマガジン

平成19年12月
≪アズマ? メール・マガジン 第6号≫     

第1章 『 テンション・ゲージ 』の ご紹介
第2章 技術ガイド ≪ ミシン針 情報(1)DBx1−NY2 ≫
第3章 『 スレッド・マーカー 2、4、6 』の ご紹介
第4章 弊社よりの、『 お知らせ 』

第1章『 テンション・ゲージ 』の ご紹介。

ミシン調整  特に 糸調子を取る時に、必需品のテンション・ゲージ
 
1.扇形 テンション・ゲージ 
    測定時に 振動がひどく 測定しにくい。 
糸のセットに工夫がいります。
    バネに対して、糸を直角に維持するのが難しい。
   規格が小さい。 最大値で 10g〜500g まで。

2.棒型 ( 丸型 ) テンション・ゲージ 
    棒型 バネ秤を 精密にしたようなもの。(スタンダードタイプ )
    比較的安価だが、デジタル表示タイプなど、多種多様に出ています。
    ミシンの設定なら、スタンダードタイプで 充分実用になります。
    糸の取り付けが容易です。測定数字が読みやすい。取扱いが簡単です。

    グラムの器種については下記の種類がございます。

    10g 30g 50g 110g 200g 300g 500g 600g
    1.0kg 1.5kg 2kg 2.5kg 3kg 4kg 5kg 7kg
    10kg 15kg 20kg 30kg 50kg 100kgまで。

3.購入お勧め
          下糸用         上糸用
  ? 婦人薄物  30g         110g
(= JUKIセットとほぼ同様規格です )
  ? 中厚物   110g        200g、300g、
(500g、600g)

  縫製研究室 では、110g、300g、600g、 ( 1.0kg ) を保有しています。

棒テンションゲージ

◎ニュートン ( N ) 表示 ( 主流です )
◎グラム   ( g ) 表示 ( 多少 時間がかかります )
       1N = 100cN = 102g ( gf )

第2章 技術ガイド ≪ ミシン針(1)DBx1−NY2 ≫

オルガン針 本縫いミシン針 
DBx1−NY2 #9〜#18・#19 (注)
  優れていて、なおかつ DBx1と同価格という、
大変お買い得な『 針 』
  一般的な縫製にはお勧めです。  { (注) #19 針柄1.90mm です}   

§1.特徴
1)針幹が、テーパーブレード加工 
針ブレを防ぎ、目飛びを減らす。針折れを減らします。

2)針の糸取り部のエグリが、クリフスカーフ形状(*)になっています。
   釜の剣先の 糸取りを 確実に     ⇒ 目飛びを減らします。
   針で形成される 糸のループを 適正に ⇒   〃
  
*) クリフスカーフ形状とは       
 「 舟形エグリ 」ともいわれます。
普通のエグリが、笹の葉のようにスムーズなエグリであるのに比べ、
はっきり角度をつけて、エグリます。エグリが長いです。
     特に、針穴側は、糸のループが形成され易い形状になっています。
   
3)針先をスリムにしました。( =針穴横から先端に やや細くなるように ) 
    結果 J ポイントは、S ポイントと全く同じ形状になります。
「S」ポイントと発注して下さい。 ( オルガン針?様 要請 )
   「R」正規尖がり形状も、同様にスリム化。
生地に優しい。貫通性が高い。

§2.注意点
   2項のクリフスカーフ形状は、エッジが かなり明確についています。
その為 薄いデリケートな素材の時に 針穴が目立つことがあります。
 ゆえに、薄地・難素材に −NY2細番手(#9・10)の使用は
お勧めできません。

クリフスカーフ・エグリ&レギュラー  

第3章『 スレッド・マーカー 2、4、6 』の ご紹介。

 裁断パーツに 位置印を付ける事 (印だし)に、ご苦労される事が
多いと思います。
 目打ち跡を嫌う製品、印がつけにくい素材で、お困りの工場様に
特にお勧めしたい。

この道具は、裁断パーツへの 糸 ( 糸チャコ ) 通しが
合理的に行えます。 ( 2項 参照 )
直径1.2mm ( Type2 )の針を、無回転で手の力により 刺し通します。
  針跡の 最も残りにくい方法です。
  縫製作業寸前に糸に従い、簡単に印がつけられます。 
むしろ、糸を通して置く事によるメリットも、大きいと考えます。
  ≪ きりびつけ ≫として、糸をそのまま印に利用する方法も可能です。

型紙にて 1枚1枚 印付け (印だし) をすることに比べ、
時間が 大幅に短縮出来ます。
時間経過によるマーキングの薄れや、移動のこすれによる消失等を防げます。

§1.商品 諸元  
名称:Thread marker(スレッド・マーカー)2,4,6,
2インチ(約1.2mmの径で長さ10cmです)
=#19の針幹と同じ径です。
     4インチ(約1.6mmの径で長さ15cmです)
=#23の  〃   
     6インチ(約1.9mmの径で長さ20cmです)
=#24と#25の中間の径です。
     ◎ 購入時と別のニードルの種類が選べます。本体は共通です。
       針先の形状は同一です。#8番手糸まで使用できます。
発行元:日本イーストマンCRA株式会社 フィールドサービス

§2.動作の説明。 
  針に糸を通して 準備が出来ましたなら、 裁断パーツをセットします。
ハンドルを押し下げますと、底部に有るルーパーが糸をすくいます。
  ハンドルを戻し、糸を切りますと、印用の糸が裁断パーツに残ります。
糸を目当てに印をつけます。
  主に 綿糸、しつけ糸、スパン糸が、使用されます。
スパン糸の50番手、30番手、8番手等の、目立つカラーでの使用を
お勧めします。

§3.この道具を、お勧めしたい工場様。
  無回転の針で、裁断パーツに糸を通します。
生地へのダメージは最小限に抑えられます。
◎ ドリルが不可のデリケートな素材や、縫製基準で作業されている工場様。
◎ 粗い生地、ウール地などが多く、印が付きにくいなど
印が目立たない素材の多い工場様。
◎ 白、淡色の素材が多く、うかつに印をつけられない工場様。
◎ 集中裁断等により、裁断とラインが離れていて、
裁断物の移動が伴う工場様。

§4.不都合なケース
カットソー生地(ニット地)に対して、地糸切れの可能性が有ります。
残布でテストを行った後にご使用下さい。
CAM(目打ち機能が内臓)の工場様では、あまり必要性が無い
とのお話です。

スレッドマーカー 図3 図4

第4章 『 お知らせ 』

アズマネットショップ開設のご案内
弊社店頭課では、かねてより準備を進めておりました「ネットショップ」
を開設する運びとなりました。
アズマ?のホームページからお気軽にアクセスすることができます。
取扱商品を掲載しており商品カタログとしてもお役に立てればと存じます。
是非ご利用頂きますようお願い致します。
                                  
アズマ? 店頭課
HPアドレス http://shop.azuma-kinbasewing.net/index.html

  編集後記  
  メール・マガジンの雰囲気を変えて見ました。
もちろん『 テーマ 』に基づいた、既刊のタイプも発行したいと思います。ご希望の『 テーマ 』をお寄せください。
  記事に限らず、お困りごと、疑問、質問、検証 等々 ご用の際には
弊社担当者にお声をお掛けください。
または、弊社 HP上「縫製研究室」に eメールをお寄せ下さい。
アズマ株式会社 縫製研究室 浅川 幸夫

アズマ?HP内 http://www.azuma-kinba.com/contact/mail.cgi 
            Tel 03-3865-7103, Fax 03-3865-7107 
                東京都台東区小島2−1−1
                          

第5回 「ストレッチの縫製」

 平成19年5月 
≪ アズマ? メール・マガジン 5号 ≫
≪ストレッチ素材の縫製について≫

 最近の傾向として、ストレッチ素材が進歩・多様化したせいか、タイトなデザインも増えてきました。
また、ストレッチ素材も、けして特別な素材ではなくなりました。
 しかし、地縫いのパッカリング:ビトつき:袖付け工程:ファスナー付け 等々
依然として、「あなどりがたい」素材ではあります。
ストレッチ素材の製品と一言で言われますが、衣料の種類によって、求められる縫製の機能も
大きくわかれるため、次のように製品機能の分類をしてみました。

1.ストレッチ性を生かせる程度には、延び代が欲しい製品。
ストレッチ素材の ジャケット・コートなど
2.いざ力がかかった時に、糸が切れない方が良い製品。
タイト系の ブラウス、シャツ、ジャケット、& ストレッチパンツ など
3.縫い線を 充分ストレッチさせる必要のある製品。
  水着、スパッツなど
3項の、特にメリヤス・トリコットなどのニット素材は、環縫いミシン、千鳥ミシンが主です。
※ 今回は本縫いミシンに絞って研究してみました。

 ストレッチ素材(織布テキスタイル)を、本縫いミシンで縫製加工する時の「前段取り」を主体に
メモしてみました。 縫製の一助にお読み願えれば幸いです。

                   ‘07.5.14. AZUMA? 縫製研究室 浅川 幸夫 

ストレッチ素材の縫製で、発生しやすい問題点は、以下の4点であると考えました。

第1章 『 糸調子の乱れ・糸の選択 』  糸調子の乱れが、事後にも発生します。  
第2章 『 本縫ミシンの前段取り  』  縫いずれ、パッカリングが発生しやすい。 
第3章 『 縫 製 』      地縫いの注意点。
第4章 『 仕様・付帯作業 』  仕様・付帯作業に、特段の注意が必要です。   

第1章 『 糸調子の乱れ・糸の選択 』
                      
§1.「糸調子の乱れ」の発生
1. ストレッチ性の生地を 地縫いします。 
 2.生地がもとに戻る範囲(10前後%〜20%)で、部分的に又は、全体を 伸長します。
◎ 製品の有り方によって、範囲は変わります。
 3.張力が無くなり、布地がもどります。
 ⇒  下糸 「ミの字」状態に 糸が乱れる。「糸浮き」も出ます。
 ⇒  上糸  糸浮き・よれのような 糸の余る状態に乱れます。

                

原因  糸は 伸長した量の 100%は、収縮しません。
そのため、収縮しきれない長さ分の糸が、余りとして乱れ(浮き)をつくります。
      縫い目の糸も、縫われた通りに元には戻らない。伸ばしによって、偏ります。
   (注意) 伸度が大きい糸ほど、戻るということでは無い。糸の性能(ヤング率)です。

§2.ミシン糸が、求められる性能。
1. 生地の伸びに追従し、なおかつ切れない糸 = 伸びのあるミシン糸
2.パッカリングが発生しにくい糸 = 糸のモジュラス性。ミシンの調整(糸調子)。

§3.伸びのあるミシン糸の種類(一部)
? ポリエステル・フィラメント糸
    エースクラウン  伸度:23%
    ハイパー        31%
? ナイロン・フィラメント糸
    ユニロン        29%
    レジロン        35%    
? ウーリー糸 ( ナイロン or ポリエステル )
    高伸度タイプ
    低伸度タイプ
? 特殊ストレッチミシン糸
    エッフェル(ソロ系ポリエステル糸) 伸度:60%以上

§4.糸の選択 
素材はストレッチ・ブラウスを例にしてみました。
 1.細い針で使える 細くて丈夫な糸。(#50以下)
 2.限界伸度 25%以上が望ましい。 製品の有り方によりますが。
 3.縫った後も、多少 動ける 滑らかな糸が良い。
 4.糸は、太いほうが、縫った後の伸度に耐性がある。
糸同士の食い込みが関係するようです。
      #60・80より、#50が、伸ばした時に切れにくいようです。

◎ 1〜4より、フィラメント糸の選択になります。(スパン系は、選択の理由が無い。)
ナイロン系は、ほとんど該当します。 レジロン(35%):エッフェル(60%以上) 等々
    ポリエステル・フィラメント系で、30%以上の限界伸度を持つ糸は『ハイパー』です。
      { エッフェル=ソロ原糸ポリエステル・フィラメント糸= を除く。 }
テトロン他 ポリエステル・フィラメント糸は、23%前後。
一般的なジャケットやコートなら、問題ないと考えます。
下糸がウーリーなら、全く問題はありません。

§5.糸への負担
1.針目が、細かいと、伸びに多少強くなります。
  2.生地が柔らかくボリュームがあると、伸びには、非常に強くなります。
  3.普通の糸調子だと、下糸が先に切れます。 対策は 下糸を優先します。
        ウーリー(高伸)糸や、エッフェル糸などを活用するのが良い。

§6.下 糸 
 1.ウーリー(高伸)糸 = ストレッチを縫製する上で 最も重要な「 要 」になる糸。
     各社 ウーリーに  ナイロン糸 & ポリエステル糸 が存在。
        それぞれに   高伸度  &  低伸度    が存在。
  必要ならば ウーリー(高伸)。 エッフェル(=ウーリー糸がダメな時)。
                  エッフェルは、上糸にも使用は可能です。
 2.ウーリー糸だけは、布が戻っても、乱れ・糸浮きの形態をあらわさない、唯一の糸です。 
    特に高伸タイプは、カサが高いため、伸び戻り糸の乱れを防ぐ効果が高いです。
上糸の伸びを データ以上に 限界一杯まで 生かす事が出来ます。

 3.ウーリー糸(ナイロン)の弱点は何か 
   ? 擦過に弱そう。( 実証試験 未了 )= 形状からは言えそうです。
   ? 強力に 劣る。 = 強力を必要とする個所の検討。
      限界強力が弱い為、無理な力が1箇所に掛かるような所では弱さが出      る事があります。
       「上糸が切れると その衝撃で ウーリー糸までいっしょに切れてしまう。」            というケースが見られました。
   ?「熱(アイロン)に弱く、溶け易い。」 = 迷信に近い。:ポリエステルもあります。

第2章 『 本縫ミシンの前段取り 』

§1.試し縫ミシンの仕様 
ミシン(JUKI)DDL−5581N  針板  4枚歯−針穴1.4mm ( AZUMA )
送り歯 4枚歯−33 T ( AZUMA )
    針  DBx1KN #11   
                 押え   NT−18 ( NIPPO )

§2.押 え  
1.普通に 地縫い。 = 糸の持つ伸度に期待します。
  パッカリングを起こさないように、生地をスムーズに送る必要があります。
   また、生地伸びすると、上糸浮きに 即 つながるので、やはりスムーズに無理なく縫いたい。
  特に横地方向の 地縫いで、縫いズレによる、パッカリングが発生やすいです。
押え圧は、必要最小限にします。強いと 特に上布をしごいて、伸ばす傾向になります。
      エア・ダンパー押え。オイル・ダンパー押えは、有効(万能)です。
押えは、テフロン等すべりが良いものが適当です。スライド・リング押え等も推奨します。
      NIPPO  テフロン NT−1: −2: ―5: −18 など  
      日本工研 スライド・リング SR−DB−L:(R):W  

2.伸ばし縫い。 引っ張り縫い。
 充分に、ストレッチの機能を生かす。メリヤス・フリースのような生地向き。
  かなり乱暴な縫い方で、細かい丁寧な作業には向きません。
   糸のもつ、伸度に期待せず、生地が伸びた状態で縫い、糸は、布と伴に動きます。
   押えは、やや広幅の金属性が良い。押え圧力は、強目のほうが良い。
     伸ばし・引っ張り どちらにしても、手前には やや、強く布を引く加減があります。
     ミシンは、それに負けずに 生地を送る形になります。

§3.送り歯と針板
1.3枚歯と4枚歯の送り  
明らかに『4枚送り歯』の方が良いと思います。

          
                        
    3枚送り歯だと、上の縫い代が、左にずれて、浅くなり易いと思います。
 薄物の場合は、4枚歯では、縫いの安定度に、3枚歯の時と違いが感じられます。 
   ストレッチで、押え圧を弱くした場合などは、不安定になりやすいので、4枚歯は特に有効です

2.送りは、確実に、安定して、スムーズにと、なれば、
      4枚歯(4R)と テフロン・メッキ・コート針板が良いでしょう。

     送り歯 NIPPO NSA−914(27T=細目): NSA−914−SF(35T=極細目)

針板   NIPPO 4R−1026T〜1826T(1226Tは無い。備考)&4R−1430T~1830T
          (例 1026T = 針穴1.0mm : 針板厚 2.6mm : テフロン・コート )
       備考 NIPPO「4R−1226 & FDセット」 針穴1.2mm(33T=細目)コート無し 

 (注意)4枚歯は、(3枚歯以上に)製造ブランドにより、規格が異なりますので、
必ず同じ会社の、同じシリーズをそろえた方が安全です。

( フリースの試し縫い )                  
明らかに違いました。4枚歯では、美しく縫えますが、
3枚歯では、パッカリングのような、うねりが生じます。)
押え圧力の変化によって、表情が変わると思いましたが、ほとんど変化ありませんでした。
    むしろ 前述したとおり、3枚歯に変えたことにより、明らかに、ポコつきました。

§3.針の選択
1.薄物の、デリケートな素材が多い。 
  1.地糸切れは、即 穴の発生なので、Filament-Fiber(原糸)のレベルでも避けたい。
2.糸を引っ掛けると、糸引きを起こしやすいので、避けたい。
  という2点から、薄物には Sポイント又はKN(SF)の選択(先端『J』ボール)が賢明です。

 DBx1KN #8〜14 を推奨 : デリケートな素材の標準針と考えます。 
    針幹は、あまり細いと目飛びの恐れがあります。
針の太さ(番手#:針幹)は、生地・工程に合わせて下さい。
#50以下のフィラメントは#7の針まで、充分 縫製可能です。

2.中厚物のストレッチ素材は、針振れしやすい。= 目飛、針折れが出易い。
DBx1−NY2(Sポイント)がお勧めです。針ぶれしにくい 万能針です。
#12以上の針を 使用する素材には万能です。
一般的にも ほとんどの中厚物生地に、針先端(R)も含めて お勧め出来ます。

◎ 針は、ピンセットを使用して、正確にセットしてください。
(Astage式)= 指先で、針を針棒に取り付ける。ピンセットで、針のエグレの位置を挟んで、
カマとエグレ面が平行になるように修整する。

◎ ミシン針の詳細については、弊社『 「本縫いミシン針」配布試料 』をご請求ください。
    メール、または、担当営業持参にて 配布いたします。
      アズマ?HP トップ     http://www.azuma-kinba.com

第3章 縫 製 

§1.ストレッチ素材 + 普通素材 組合せ縫製
 伸びない素材との地縫い = 縦地と横地の縫い合わせも = は、特に難しいです。

 平縫い 
 ストレッチ素材を 下にする。― わずか伸びるが、コントロールのうちです。
   〃      上にする。― 押えにより、かなり伸びてきます。押えのセットによっては
                     かなり、普通素材が、イサリます。

 カーブの地縫い(縫合せ)の時に、縫い代がさばけない時があります。= 片押えが有効。
⇒ NIPPO 右細巾自由押え NP−10:右端縫い片押えNT−11 (テフロン) 
など試用して下さい。
(参考) NP-10の形に 普通のテフロン押えNT-1を加工するのが、使い良いと思います。
⇒ もちろん スライド・リング押え 日本工研 SR−DB−L も有用と考えます。

 いせ込み 
結論 : 本来の 縫製ポジションで良いです。= いせられるものは、下送り側にします。

 上 普通素材   下 ストレッチ(いせ)
    安定して、健やかには入りやすい。しかし 伸びる傾向なので、多量に入れるのは大変です。
    袖つけは、身ごろを下にしますと、上手くいきません。(= 後付け袖 )
     この状態は、『 袖付け 』の状態でもある。 = 普通と逆ですが、これが正しい。

 上 ストレッチ   下 普通素材(いせ)
    上にある ストレッチ素材を伸ばせば、必然として、いせは入ります。
      量のコントロールが難しい。:入りすぎます。
    下糸は、いせが多くなればなるほど、緩むので、糸調子、糸の選択が、限定されます。
    ギャザっぽいものを狙うのでなければ、お勧め出来ません。
    このケースでは、自然に いせが入りやすいが、その分操作しにくいです。

第4章 『 仕様・付帯作業 』

 ストレッチ素材の持つ、特性によりまして、気を付ける事が多くなります。

1.ファスナー付け  = 付け代にテープ芯をいれて下さい。

  ストレッチ性の基布を使用したファスナーは、存在します。
    但し、ファスナー部分に、ストレッチ性は無いので、かなり特殊な用途になります。
  むしろ、一般的なエフロンや、コンシールをいかに合理的に 美しくつけるかが、大切です。

  最近、付け代に 芯やテープを入れないで つける傾向が、特に コンシールで目立ちます。
   しかし、基本的には、コンシールでも、縫い代芯は必要です。
映りを嫌う向きもありますが、ファスナーの縫い代は 必ず映るわけです。
   むしろ、美しくファスナーが付くほうが優先されるべきでしょう。 (YKK様 談)

  ファスナー 縫い代テープ芯 = ストレッチ性のある、ストレート系の伸び止を使いたい。
   何も入れない   ⇒ アイロン折り・ファスナー付け地縫いで伸び、ステッチで不安定になります。
   硬いストレート ⇒ 反ったり、つれたりしやすく、ますます硬くなり、馴染みません。
   ハーフバイアス ⇒ 左右で、 違いが出やすい。 ヨレの生じる可能性があります。

2.ボタンつけ  = 釦付け糸が 表地1枚のみに負担をかけないようにします。

  ストレッチ素材は、1点に掛かる力に弱い面があります。
 ボタン付け力芯用(穴掛り兼用)の補強芯を入れます。 
力ボタンをつけます。
前立てなどは、「縫い代を広くしてボタン土台として生かす。」等の対策が必要です。

3.鳩目穴掛り  = 穴掛りの土台になる芯を入れたほうが、安全です。
  身ごろ芯もストレッチ性の時は、穴掛り補強芯を考えて下さい。
「先メス」で上手に美しく出来ない時は『 後メス 』を試してください。
     バイアス方向の穴掛りは避けたい。(多くはフラワー・ホール=飾り穴)
どうしても必要な時は、しっかりした補強芯が必須。 

4.芯張り  = 途中で芯を切ると、表情に出やすいのがストレッチの特徴です。
芯にストレッチ性がないと、はがれやすい。接着性の悪い素材も多く有ります。
     入れる部分をパターン設計に入れておく。たれや、表面への響きに注意が必要です。
 
   接着条件が、難しい。接着時のパーツ取扱でヨレ・ゆがみに気をつけます。
   温度での 縮み量 ・ 動き量の 大きい生地が多いと思います。
戻り量も大きいので、修整量にも配慮して下さい。
ヘムや キセなどで、動き量に、ゆとりのある対策をしておきます。

5.ドット釦(スナップファスナー) = 布がひっぱられると痩せるので、抜けやすくなります。
                    穴も当然 大きくなりやすい。
  下穴は、小さく明けます(スナップFでは、下穴不要)。 力芯を考えます。
  金属部(特に薄いエッジ)を直に、表地に触らせない。= 革・プラのワッシャーを噛ませます。
  打撃系ドッタ−より、人力又はエアなど 加圧系ドッタ−が適していると思います。
   YKKアタッチングマシンは、打撃系のみだが、問題ないという解説でした。
 「かませ代の広いデザインのボタンを選ぶ。」などの工夫・配慮が必要です。
  
 <蛇足> ドット釦・ドッタ− = モリト。
スナップファスナー・アタッチングマシン=YKKスナップファスナー(旧スコービル)

6.ルイス  = 裾ヘムなどの止め付けは、布の弾力のせいで、とても 表に響きやすい。
  糸は、すべりが良くて、細い糸を使用します。 糸調子は、「ふっくら」と充分ゆるくします。

◎ すくい目をあまり小さくすると かえってクボミとして目立つことが多い。過ぎたるは!
     クボミ(へこみ)が、目立つときは、色の合った細い糸で しっかりスクう手があります。
◎ 奥マツリミシンなら、なお良いのですが。

ルイス糸は、ハイパー・ロック(‘07.5  100色先行発売)が お勧め。 
     すべり(糸の走り)は、テトロン以上だが、素材へのなじみがよく、糸抜けには有利。
柔らかい糸だが、腰があって、目飛びなどに有利。
    ‘07.10月には、エース・テトロン 全色対応になるので、色の選択が、楽になります。
   ウール・ストレッチなど 天然系は、キンバ・スパン #120が、お勧めです。

編集後記
 
  今回の特集にあたり、 メーカー様、縫製会社様より、多くのご協力をいただき、
有難うございました。 
特に 山形県鶴岡市在住 O氏には、数多くの重要な技術情報をお教えいただきました。 

末筆ながら、御礼申し上げます。   縫製研究室 浅川 幸夫