第17回 「縫製資材の対比」

≪アズマ? メール・マガジン 17号≫

昨今、異素材組み合わせなどが広く使用されています。
ある分野では当たり前のことが、意外なものもあるかもしれません。
今回、縫製資材で目的、用途が反対にあるものを定義として
まとめてみました。

1. 伸びる糸 vs 伸びない糸

2. 縫う時に  引っ張る vs 押す

3. 滑る vs 滑らない

4. 接着する  vs 剥がす

5. ミシン針 vs  ミシン回転釜先

6. ミシン針の先で 織・編糸から 逃がす vs 突き刺す

7. 製品の”アタリ”   アタリを出す vs アタリを消す

8. ポケット型材    型の外側を折る vs 内側を折る

9. 印をつける vs  印を消す

10. 芯地 仮接着 vs 永久接着  

【 対比紹介商品 説明 】

1. 伸びる糸 vs 伸びない糸 ————————-

 ”伸びる糸”は ナイロン素材、PTT素材、ウーリー加工などがありますが、
最たるものとして一例  (下糸限定ではありますが)

   ◎ キンバスパンデックス 伸度 300%

 ポリウレタンにナイロンをカバーリングした糸
         用途 主に シャーリング用下糸
           品番 1120 巻量 100g
            構成   芯糸    ウレタン 1120d
カバー糸  ナイロン 110d x 2

     

   
◇ ”伸びない糸” の代表として ” ナスロン®”
    
    ナスロン®は日本精線株式会社で製作、販売している
    ”ステンレス鋼”
    の商標登録名です

    品種   伸び   強力
    12μ 100f   1.3%    2.3kg
    12μ 100f/6×3 2.8%   38.7kg 

      太さは、比重が大きいので
      dtex(10000m当たりの重さ)
      表現ができません。
        参考 12μx100f 0.12g/m

    用途は 防火用(溶解点1,400〜1,500℃)などがありますが、
    耐食性、熱伝導性、電気伝導性もあり、
    各業界で使用されています。
                         
  出典URL http://www.n-seisen.co.jp/products/naslon005.html

2.縫う時に  引っ張る  vs 押す ——————— —

   一言で区分けはできないものの、強いて言えば
   カットソーを縫う時は手で押し気味に、
   布帛は、引き気味にしています。
   また、ミシン・アタッチメントでは、
   先引きと送り込みするローラー押さえがあります。

◎ ニッポー・ローラー押さえ (先引き)
   
   http://www.nippo-sewing.co.jp/product_pdf/012.pdf

◇ リング押さえ

   押さえソリに回転するテフロン製リングがついて、スムーズに
   布を送ることができます。
          
        

3.滑る vs 滑らない  ————————————-

   針板やミシンテーブルに貼るものの一例 をご紹介いたします。

◎ テーブルブ(テフロン) 

  テーブル滑り用テフロンシートです。
  生地がスムーズに送れない
  場合などにテーブルに貼り付けて使用します。
   

◇ すべり対策ゴムスポンジテープ
   

4. 接着する  vs 剥がす

◎ 貼る

  接着剤は スプレータイプ、テープ、塗布タイプたくさんありますが、
  まずはスプレータイプの一例

http://www.mmm.co.jp/tape-adh/adh/airsol/spray/index.html

       
◇ 剥がす
 一例 3M のシールはがし強力
http://www.mmm.co.jp/office/others/cleaner30.html
   

       
5. ミシン針 と ミシン回転釜先

    ミシン針と回転釜。どちらも硬度が高いもの、
    通常の硬度のものがあります。

◎ PD「チタンコーティング」ミシン針
    ”PD”は、超硬度TiN(窒素化チタン)による均質な
    蒸着被膜層を形成したミシン針。
    耐摩耗性で驚異的な威力を発揮します。
    針先端部の摩耗や損傷は、曲がりや針折れにつながる要因であり、
    精密な針先端の維持が生産性向上には不可欠であると言えます。
   
   出典: オルガン針?パンフレット
   http://www.organ-needles.com/pdf/leaflet/11_PD_2.pdf

    ◇ ミシン回転カマ  DLCコーティングとは

       「ダイヤモンドのように硬いカーボン」のコーティングです。

     DLCコーティングカマの特徴

     極微量給油(条件によっては無給油)での運転が可能

     l 給油機構のついているミシンであれば、
       極微量の給油のみで回転数を落とす事無く使用可能です。

     l 給油量を最小限にできますので、
       油による縫製物の汚れを防止できます。

     l 油の消費量が減りますので経済的です。(ECO)

     回転トルクが非常に軽い

     l 回転トルクが非常に軽い為、糸抜けがスムーズになり、
       厚物・薄物を問わず縫いが安定します。

     l 薄物やファンデーションなど、
       低張力での縫製で特に効果を発揮します。

     耐久性が優れている

     l 硬質クロムメッキ(通常カマの内カマの表面)と比較して
       表面硬度が3倍以上ありますので

     l プラスチック系無給油カマと異なり、
       通常の金属製カマの上にコーティングを施していますので、
       耐久性に優れています。
            
  出典: 佐文工業所 DLCカマ パンフレットより 添付ファイル参照

6. ミシン針の先で地糸から  逃がす vs 突き刺す

◎ 織・編糸の太さに、ミシン針先形状の丸み大きさを合わせて、
      地糸を切らないように逃がします。

        最大丸み Y ポイント

◇ 新合繊といわれた高密度の生地には、
  針先が尖ったものが、針が突き刺さった時に生地が押し込まれないので、
  パッカリングなどに効果があります。
    
       SPI ポイント

    針先形状一覧表  出典: オルガン針?

   http://www.organ-needles.com/pdf/usercatalog201309/03-05.pdf

7. 製品の”アタリ”  アタリを出す vs アタリを消す

◎  ジーンズ、パンツの脇などに”アタリ”を出すため
       当て布 を使う場合があります。
        不織布、共生地など

◇  ”アタリ”を消すための 溶剤

   アタテカトール
  

8. ポケット型材   型の外側を折る vs 内側を折る ———-

◎  バイリーン PP300 を ポケットや襟のかたちに切って、
   生地の中におき、型材の外側を折る

   http://www.vicre.co.jp/product/p20_03.html

◇  型材の内側をくりぬき、
   生地の中におくと、
   正確なサイズを出るようになりました。
   また、折り線が、きっちりする(エッジが効く)ようにもなります。

      アズマ縫製研究室・メールマガジン 第14号 参照

    http://blog.azuma-jpn.com/?eid=209420

9. 印をつける  vs 消す

◎ 印をつける チヤコペン

    http://blog.azuma-jpn.com/?eid=174123

◇ 印を消す チャコけし
                        

    http://www.sanwa-kasei.jp/products.html

10. 仮接着 vs 永久接着  芯地   ( 接着力の耐久性 ) ———-
 
永久接着芯

  水洗いやドライクリーニング後も接着力が維持される。
  ブラウス、ジャケット、コートに至るまで幅広く使用される。

  接着剤は ポリアミド系樹脂
       ほとんどの素材によく接着され用途が広く .
       特にドライクリーニングにすぐれている。

       ポリエステル樹脂
       ポリエステル繊維によく接着、耐水性にすぐれている。

  接着剤の形状

      ドットタイプ
       ドット ( 点 ) の形状の樹脂で
       大きいものから小さいもので使用されています。

         大粒   厚手素材
         中粒   中厚素材
         小粒   薄手素材用として分けられます。

      スピンウェッブタイプ
       クモノ巣状の樹脂形状で基布全体についています。
       アイロン接着性はいいが表素材が少し固めにあがります。
 仮接着芯

  接着力は弱く、水洗いやドライクリーニングにより剥離することがある。
  剥離する危険が有りますのでジャケットなどの前身頃、
  見返し、裏襟、裏カフスなどの一時的に接着させることを
  目的にした補強用に剥離した方が良い場所に使用します。
  接着剤は ポリエチレン樹脂
  

   接着剤の形状

        粉末状の樹脂が付着しています。接着力が弱いので
        ステッチなどをかける必要があります。

主観的にとりまとめてみました。
組み合わせで無理があるとか、違う資材があるのではなどのご指摘も
あろうか思います。
ご叱正をいただければ、これにすぐる喜びはありません。
いろいろなアイテム、ニット、カットソー、布帛など衣料に留まらず、
シート、かばん、家具縫製などでは「このアイテムはどうやっているのか」など
宿題をお待ちしております。
よろしくお願い申し上げます。

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アズマ株式会社
縫製研究室 鵜木 隆嘉
Tel 03-3865-4861 Fax 03-3865-8743