第15回 織糸とミシン糸/ブラウス縫製体験記

≪アズマ? メール・マガジン 15号≫

§1 織糸とミシン糸

§2 ブラウス縫製体験記

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§1 織糸とミシン糸
  織糸はいろいろなものがあって進化しているのに、
   なぜミシン糸は旧態全としているのかとの声がありました。

   いえいえそんなことはございません、ミシン糸も
   製品染め、ストレッチ、薄物難素材対応など研究開発をしています。

   ただミシン糸に求められるものは、
   生地と生地をミシンで縫う(組み合わせる)機能が第一にあり、
   ミシンの構造上、どうしても不可欠な絶対条件があるため、
   制限があります。

   本縫いミシンの場合
   ミシン針が下死点から上に上がるときに生じたミシン糸のループの
   中を回転釜剣先が通って、上糸が内釜を一周します。
   この動作を保つために、ミシン糸には撚りがないと、
   糸が割れて、剣先がループの中に入らなかったり、
   糸を切ったりしてしまいます。
   さらに生産性の要求から、ミシンのスピードは毎分1000回転
   以上と速い動きについていかなければならず、
   なおかつ、ミシン針穴、内釜と外釜の隙間の大きさの制限から、
   凹凸の少ない滑らかな糸が、その性能を発揮します。
   撚り糸の断面も円形に近い方が安定します。
   一方、織糸は、縦糸と横糸が交差すればよいので、
   撚りが少なくてもよく、凹凸があっても織られていきます。
   いわゆる ファンシーヤーン・意匠糸 と呼ばれる
   凸凹型の
  ・スラブヤーン
  ・ネップヤーン
  ・モールヤーン
  ・スナールヤーン
  など、織り物では様々な形を表現しているものが、
  ミシン糸の世界では、規格外、不良品として設定されています。
  ▽スラブ ヤーン 画像
  
  ▽ネップ ヤーン 画像
  
  ▽モール ヤーン 画像 
    
   
  とは言え、ステッチ、飾り糸を効率よく生産したいために、
  本縫いミシンを使いたいという要望は絶えません。
  ミシン糸屋として研究開発をしていきます。
  次回、飾り糸を縫うための、刺繍機、特殊ミシンをテーマに
  予定しています。
  また、糸の進化と言えば、ナノファイバー、機能糸など
  それこそ日本が世界に誇るものがたくさんあります。
  機能糸一覧については、当メールマガジン第9回を
  参照ください。
  
      ▲ 織機 織り糸のイメージ

  
    ▲ 編み糸もいろいろな糸があります。
      糸案内や、ベラ針の大きさなど、ミシンよりも
      大きく、自由度があります。     

  
  

 
§2 ブラウス縫製体験記
   去る2013年10月6日(日)に大阪で「縫製塾」が開催されました。

   文化ファッション大学院大学・稲荷田教授より、
   「薄物素材のブラウス 〜上手な縫製技術とパターン展開〜」の
   実習を受けて参りました。
  

   生地は 薄手の 綿100%素材です。
   ミシン糸は エースクラウン・ ハイパー #80  生成を使用しました。
まずは、デジタル・テンション・a!<%?!<(DTM)を使用します。
過去に一番きれいな縫い目に縫えた時のテンション(張力)で
記録していたものを再現、その数字に合わせることから始めました。
下糸は 5g にセット。
DTM(画像の右上部分に)ボビンケースをセットします。
ボビンケースからでている糸を、各ローラーをとおして、巻取り部に
つけて、巻取り、メーターが 5 になるように、ボビンケースを
張力調整バネを、マイナスドライバーで回します。
DTMボビンセット部は、張力計測しながらバネを調整できるような
配置に設計されているので楽です。
このとき、空転防止バネは外しています。
それによって、繊細、スムースな張力になりますので、薄手の場合は、
おすすめされました。

    
▲下糸の張力を 5g に設定中

次に上糸の調整です。
上糸 は、下糸の 5〜6倍、
25g〜30g の間にセットします。
上糸のテンションDTM計測手順は、
縫っている状態に近いものの再現が好ましいので、
押さえ棒抱き糸案内
から、糸を横に(DTM)へ引き出します。
それまでの過程は、ピンピン(糸取バネ)も全て掛けます。
DTM部分は、各ローラーを通して、糸巻き部にセットして、
スタートボタンを押し、
ミシンのテンションダイヤルを回して、
DTMメーター数字が 25〜30の間になるように
合わせます。
下糸より、ピンピンや糸の性質(毛羽・ムラ)などにより、
DTM数字は微妙に動きます。
ミシンのスピードは 1800spmにセット、
運針数は 1mm にセットします。
これで、誰もがきれいに縫える状態になりました。
私もやってみたら、当然、きれいに縫いあがりました。
各箇所でのパターン、仮止めの意味を
教えて頂きながら縫うことができたので、
上がり、ラインもきれいになりました。
 

ただ、前日講義(パターンについて)を抜きにして
縫いをはじめたこと、
ブラウス1着をつくりあげたこともなく、
勝手とまどいがあって、
完成にいたらず、袖ひとつだけの縫いあがりでした。

先生は もっと薄い 綿100%の生地を
同じハイパー糸、設定で縫い、きれいに縫っていらっしゃいました。
【 要約 】
DTMを使用すると、再現性、みんなが同じ縫い上がりになりやすくなります。

【 使用した ハイパーミシン糸 の特徴 】
エースクラウン・ハイパーミシン糸は、テイジンの世界唯一の原糸特許技術と大貫繊維独自の加工技術を合わせ、毛羽に変わり特殊ループを持つ
高機能ミシン糸です。

● パッカリングの減少
● 熱セット性能 (発生したパッカリングの消去セット性能)
● 特殊可縫性(自動縫製ミシン対応)
● 素材を選ばない広いミシン調整幅(優れた平滑性と耐熱性)

※エースクラウン・ハイパーミシン糸の他、
  マナード、フィット、ファイン・ミュー、ユウゴ等
  各ブランド複合糸を取り揃えております。

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アズマ株式会社
生産課 仕入課 縫製研究室
鵜木 隆嘉
Tel 03-3865-4861 Fax 03-3865-8743