第42回 第一部 技術交流会「ミシンメンテナンス」と稲荷田先生の「よろず相談」

≪ASC(アズマ ソーイング ラボ コネクション) メールマガジン≫ 第42号 (第一部)

今回は、弊社で開催いたしました技術交流会「ミシンメンテナンス」と稲荷田先生の「よろず相談」をご紹介いたします。

2019年11月28日(木)に手嶋ミシン商会・手嶋社長から「機械が苦手な方が行える 最低限のコストで最大限のミシン効率を出すことは?(ミシン縫いの原理を理解し、メンテナンスを学ぶ)」をお話しいたしました。 アパレルメーカーさん、サンプル縫製、内装業などいろいろ職種の方々がお見えになってくださいました。
ご来場してくださった方々に厚く御礼を申し上げます。

手嶋氏の説明状況

多くの方がご来場いただきました

 

初めに、縫いの原理を理解することから始まりました。
本縫いは織り機? 環縫いは編み機?
ミシンの縫い目は、針糸のループ形成から始まる。
ミシン針には、なぜ表、裏があるの?
ミシン カタログのサブクラスって何?薄物、中厚物、厚物、極厚物って何?

 

目飛びの原因追及は謎解きみたい。
ミシンメーカーの調整推奨値では縫えないことがある。
糸調子を合わせるときのコツみたいなものってあるの?
油汚れを防ぐには。ミシンの給油機構を理解しよう。
ミシンの保全には、オペレーターの感覚が大切。

ワンポイント アドバイス その1
工業用ミシンは、ゆっくり縫っていると壊れる?
ミシンの給油機構は、最低でも職業用ミシンくらいの速度で回さないと、オイルがまわらずに焼き付いてしまうことがあります。最低でも1日1回は高速で数十センチメートルは縫ってください。

ワンポイント アドバイス その2
オイルパンのカマの真下は、カマ給油のチェックポイント! カマを潤滑したオイルは、遠心力で飛散し、オイルパンに溜ります。毎日清掃していれば終業時にオイルの付着具合でチェックができます。

ワンポイント アドバイス その3
カマの糸噛みで、ミシンが回らないときは、それ以上回さないで、プーリーを逆に回すと挟まった糸が
抜けることがあります。少し力が要りますが、カマに注油して回せばうまくいくことがあります。
それでもダメならカマの分解が必要になります。

ワンポイント アドバイス その4
ミシンの電源は、まめに切ったほうがいいのか?
現在主流のサーボモーターの制御回路には、多くのコンデンサが使われています。
モーターの故障の多くはコンデンサの劣化で、その寿命は理論上通電時間と温度に影響されると言われています。
この結論は、実験したことはありませんので何とも言えませんが、ミシンから離れるのであれば、安全のためにスイッチは切りましょう。

 

縫製現場の生産性を支える設備メンテナンス
~生産活動を守る3つのプロセス~

  • 設備メンテナンスとは
    メンテナンスと似た言葉に保守と保全があります。保守とは正常な状態を保つこと。
    保全とは保護して安全であるようにすること、とされています。
    多くは保守・保全をいっしょにしてメンテナンスと呼ぶことが多いです

設備メンテナンスの3つのプロセス

  • 修理
    設備のトラブルが発生したときに行う修復作業のことです。
    事後保全と呼ばれることもあります。
    部品調達に時間を要することもあり、復旧に時間と突発的な費用がかかります。
  • 定期メンテナンス
    一定時間ごとに行う点検作業です。
    時間基準保全と呼ばれることもあります。
    メンテナンス計画を立てやすいメリットがある反面、決められた項目のみ行うため、すべての異常を発見できるわけではありません。
  • 予防メンテナンス
    設備の安全稼働のために行う予防活動のことです。
    部品がどのくらい劣化しているかを調べて、交換が必要な部分に対してのみ措置を行う方法です。
    必要部品のみ事前調達してから交換するため、時間と費用を少なく抑えることが可能です。
    点検個所の部品寿命を見極めについてスキルが必要とされます。

 

修理の占める割合を最小限にするのが理想です。
しかし設備が複雑になるほど定期メンテナンスや予防メンテナンスでは見つけられない要因による故障が発生します。

実際の現場では、定期メンテナンスと予防メンテナンスからこぼれ落ちた部分を修理という形で救い上げる手法をとることになります。
より適切な設備メンテナンス計画を立てることが必要でそのことにより、次のようなメリットが生まれます。

・異常個所の早期発見
・予備部品在庫の適正化
・メンテナンスコストの低減
・設備の耐用年数延長
・不良率の削減

 

・設備メンテナンスが支える経営資源のマネジメント

・設備メンテナンスは、生産性を保全するということ
設備メンテナスとその適正計画は、全てのダウンタイムの最小化という目的につながり、生産性を維持する最も有効な手段であり、設備メンテナンスは、生産性を保全しているともいえます。
また、設備という経営資源を保守することで、安全性の確保につながります。

みなさんの縫製現場に置き換えて設備メンテナンスについて考えてみましょう。
・修理
ミシン販売業者を呼ぶことですか。工場に保全担当者はいますか。
・修理定期メンテナンス
毎日、週一、月一の点検作業はありますか。オペレーターまかせですか。
・予防メンテナンス
ミシン毎に点検個所を把握していますか。部品の消耗度合いを把握していますか。

設備メンテナスの保守、保全を通して、現場の「kai・zen」点を見つけるチャンスにしませんか。
今回は、ミシンについて原理を理解し、メンテナンスに関する知識を深める機会にできればと思います。
縫いの原理を知ることで、メンテナンスの知識を深める。
ミシンメーカー、販売店から機器の技術情報を得る時、理解しやすくなる。

2019年12月18日(水)に稲荷田先生のよろず相談を行いました。
舞台衣装業さん、、アパレルさんから難素材の縫製についての相談を頂きました。
舞台衣装のお話しには、別途来場された縫製工場の責任者の方も参加されて、技術と人材育成の話題になりました。
その縫製工場様も以前は経験者をもとめていたものの人があつまらず、人を育てるしかなくなっている実情をお話しされました。

難素材を稲田先生が縫っている場面です。

 

 

 

よろず相談は、毎日ASCで受け付けをしています。
また稲荷田先生が毎月1回、ASCにお見えになり試作をしていますので、お気軽にお越しいただき相談ください。

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株式会社 新徳

主にワーキングウェア縫製工場です。中間アイロンについての質問です。多品種少数ロット対応の中間アイロンの必要な上衣 、下衣用のポケットの淵折りを人海戦術、手動でやっておりますが、非効率的です。自動機なり利便性のある方法はありませんか。

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