第30回 第一部 「縫製工場様の生産性改善レポート 第1弾 その2」

≪アズマ 縫製研究室 メールマガジン 第30号≫
有限会社内房スバルソーイング様 編

第28号(2018年7月発行)でご紹介いたしました有限会社内房スバルソーイングさん(以下 スバルさん)の改革状況の続きをご紹介いたします。

シャツ・ブラウスが主体で、袋縫い・折伏せ縫い・本ケンボロが得意なスバルさんです。
大阿久社長様の御協力を頂き、筆者は密着取材をさせて頂きました。
前回までは、座学で基本的な考え方を、稲荷田先生(※1)がご指導をいたしました。

今回は、実践的な改善をどのように進めていくかにポイントを当てています。
まずは技能者の方々にヒアリングを行いました。

☞ ここでは、縫製現場従事者を ”技能者”と呼ぶことにしました。
  この呼び方は稲荷田先生が推奨しているものです。

従来は ”作業者” や ”オペレーター” と呼んでいましたが、これはやもすると隷属的になり、”言われたことをやればいい” と従業者も管理者も無意識になりがちなことを避ける意味があります。
縫製を担う方々が ”プライド” を持って、自主的に改善し続けるために”名は 体を表す”ものとして実行したものです。

技能者の方々、一人ひとりに ”改善シート” へ”会社をよくするために、思ったこと”を書いてもらいました。

設問は3点
1.デザインが切り替わるときに、どうしたら早く上げられるようになると思うか?
2.どうしたら午前中に枚数を上げられると思うか?
3.一か月の間に、こうした方がいい・こうしたい事。

皆さん、よく見ています。考えています。
管理者の方は往々にして、先に原因の仮説を思い込みで決めて悩んでいた部分もありました。
技能者の方々が 言いたいこと、考えていることを 引き出して、分析することの重要性を認識しました。

☞ ポイント
聞いてもすぐに答えないこと。
ヒントを出して、1日考えてもらうこと。

設問の結果をとりまとめると、
1.デザインが切り替わるときは、先上げサンプル技能者が、先上げサンプルを見せながら、生地特性や縫製の注意点、修正点等を縫製技能者へ的確に伝えること。
縫製技能者は説明を聞きながらメモを取り、先上げサンプルと検品表・パターン・仕様書を照らし合わせて確認すること。

 

2.午前中に枚数をもっと上げるために、前日に翌日の前工程を増やすこと。

3.一か月の間に、こうした方がいい・こうしたい事について、”直しをすくなくすること”という内容がが多いです。
まだ「こうした方がいい」、「こうしたい」と言える方は少なかったです。

次に、技能者全員が、シャツを一着丸縫いをしました。
アイロンや検品担当者、事務、海外研修生も含めて全員です。
全員、よくできました。
苦労した点、得意な点などを言ってもらいました。
これからは滞る工程へのヘルプを誰でも行えるようにします。

☞ ヘルプの時の留意点は、専任ではないので10のものが3でよいこと、10を求めないこと。

     検品担当者           事務

☆ 何回も解いて縫い直しをしたりしたなど、苦労話がありました。

入社4年目の野村さんは 国家技能検定(婦人子供服製造技能士)二級を受験します。
裏付きのワンピースを4時間で2着縫うことが課題です。早速1着縫いあげました。
検定日は実技が 2019年1月20日、学科が 1月27日です。 学科が1月27日です。合格祈願します。

       野村さん

検定練習

先日、アパレルメーカーさんの展示会にて、若手4人のみで初めて打ち合わせをパタンナーさん・生産担当者・の方々と行いました。
若手が積極的にノートに製品ポイント・イメージ、工程を描きながら、デザイン企画側・製造側で意思共有ができました。
若手の将来を期待されていました。活き活きとしているのが印象的です。

先上げサンプル技能者の池田さんは、母校の館山総合高校で、稲荷田先生の助手として後輩に指導を行っています。
この度、最終回を迎えました。皆さまお疲れさまでした。
このうちの誰かはスバルさんの未来を担うかもしれません。

 

スバルさんの次回改善レポートが、最終回になります。
管理者がどう導くのか、技能者が自主的に改善案を意見していくのか成果を楽しみにしています。

※1 稲荷田先生は、千葉県マイスター、厚生労働省認定”現代の名工”、文化ファッション大学院大学名誉教授です。
厚生労働省の「ものづくりマイスター」制度をスバルさんが使用して稲荷田先生から指導を受けているものです。

内容につきまして質問、ご意見等ございましたら、弊社担当者または返信にてお気軽にお問い合わせください。

取材協力: 有限会社内房スバルソーイング
代表取締役: 大阿久 孝子様
所在地  :  千葉県南房総市

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アズマ株式会社  縫製研究室
鵜木 隆嘉
Tel 03-3861-7103
URL: http://www.azuma-jpn.com

 

 

 

 

 

 

 

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